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今度も自然と声が出た。
しかし女性は不思議そうな顔をする。
「おまえは貴族か?なんだその話し方は。」
自分は貴族、特権階級の人間だったのか。
改めて考えてみると記憶が霞む。
その時秋は初めて自分自身についての記憶が無くなっていることに気が付いた。
「すいません。何故か記憶がなく。今考えると自分のことすら名前以外分からないのです。」
「やっぱり頭が馬鹿になってたか。」
女性はそう言うとこんこんと秋の頭を叩く。
不思議とその手は自分と同じぐらいだった。
「馬鹿野郎。おかしいならおか
しいでてめえが叩いたぐらいで治るかい。」
目の前の女性とは別の声。その太い男性の声は彼の父親だろうか。
図太い筋肉に身を包んだ豪快そうな男が後ろから現れる。
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