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第一幕
わたしがそのお店に初めて入ったのは、夏休みのある一日だった。
その時わたしはまだ中三で、その日は行きたいと思ってた高校の見学会だった。
その高校は家からけっこう離れてて、電車で五駅くらいだった。中学生の世界なんか狭いから、五駅も離れると全く未知の世界だ。自転車なんかじゃとても来れない。
「とりあえず地図さえ見ればなんとか高校にたどりつけるわよ」とか言ってお母さんはわたしを送りだした。
それよりもっと分かりやすく、いろんな中学の制服を着てぞろぞろ歩く一団について行けば、親がついてなくても何の問題もなかった。
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