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校内に響き渡る楽しげな声や、釘を打ち付ける力強いトンカチの音。
それとは正反対に、銀の吐く溜め息と足取りは重く、目指しているはずの生徒会室は一向に見えてこない。
「とりあえず、栞の方は後回しにするとして、何か別の仕事を終わらせよう。」
頭の中で考えている事とは別の言葉を作り、やる気を出す。
しかし、人生というのはそんなに簡単に自分のペースへと戻せるほど簡単ではなかった。
ズボンのポケットに入れていた携帯電話が振動し、メールがやって来た事を知らせてくれる。
「……な!」
文面に目を通すと同時に声が漏れ、渡り廊下を歩いていた足は止まる。
剣真琴と書かれている送信者からの内容は、
「円ちゃんの様子が全然普通だったから、アシストしておいたから!
銀くんから大事な話があるってね! これで話しやすくなったでしょ!」
銀は顔を歪め、
「有難迷惑というか、地獄へのアシストになってる気がするんですけど、本当に言っちゃって大丈夫なの、かな?」
小さく呟いて、改めて生徒会室へと向かう。
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