109人が本棚に入れています
本棚に追加
意を決して生徒会室の扉を開けて中に入ると、
「おかえりなさい。」
銀に気付いた円が声を掛けて来た。
しかし、彼女は向けた顔をすぐに机へと戻し、何も無かったかのように黙々と仕事を続ける。
そんな様子を不思議そうに見つめていた銀も目の前にあった椅子へと腰を下ろし、少し考え込む。
先程メールで真琴から言われた事があった為、円に何か突っ込んで聞かれるんではないか? と、思っていたからだ。
部屋にはしばしの沈黙が流れる。
その中で銀は、一つの仮説を考えた。
牧之瀬さんと三菱さんの関係をどうにか進展させようと、剣さんが自分に嘘を言ったではないか? だから、本当は三菱さんにはそんな連絡は行ってないんだ。
そう思うと少し楽になる。
だから安心して、溜め息を一つ吐き出して落ち着きを取り戻す。
「で、どんなミスをしたの?」
「……え?」
円からの突然の言葉に、そんな言葉でしか答えることが出来なかった。
「真琴さんから連絡があって、銀から大事な話があるって聞いたから、こんなに忙しい時に一体どんなミスをしたのかな?って。
怒らないから正直に言ってみなさい。」
最初のコメントを投稿しよう!