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二人はコートに向かって軽く手を振りながら、
「おはよう!」
「おはようございます。」
と、声を掛ける。
次に見えてくるのはテニスコートの隣に建てられた剣道場と柔道場。
三月中旬ということで、まだまだ寒さが残っているせいか、二つの建物の扉は閉ざされていたが、テニス部の挨拶が聞こえたと同時にそれが開き、屈強な男共が顔を出す。
『かいちょー!ふくかいちょー!
おざーーーーーっす!』
実に運動部らしい挨拶だなぁ。などと思いながら、真琴は挨拶を返す。
「おはようございます。」と。
両部員との挨拶のラリーは終わったが、彼等の視線がこちらから外れる事は無い。
そう、彼らの目当ては別の所にあるのだ。
真琴の隣を歩く生徒会長、歩。
彼女は右手を軽く上げ顔の隣に持ってくると、ニコッと優しく微笑み、
「剣道部、柔道部の皆さん、おはようございます。今日も練習頑張って下さいねっ!」
言いながら手をひらひらと軽く振る。
それを聞いた両部の男共は口々に、
「うおっっしゃー!やる気出てきたぁぁ!」
「天使だっ!いや、女神様だっ!」
「俺、この学校で良かったよぉぉぉぉぉ!」
などと歓喜の雄叫びを上げている。
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