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死神達が過ごす寮は、一人前も見習いも一緒である事を。
見習いは三階と四階部分。
一人前は一階と二階部分になっているのだ。
最も、羅維納が死神界へ来た時点でこの事実を教えられていたのなら、今程驚く筈はない。
『だからこそ』、羅維納に走った衝撃は甚大だったのだ。
荷物をまとめ始める冬実の横で、羅維納は呆然としていた。何も言う気が起きなかった。
いなくなる?
冬実が?三繼期が?
もう一緒にはいられないのか?
せいぜい考えられる事と言えば、これくらい。そんな羅維納の肩を支えるようにして、三繼期が手を置き話す。
「辛いのは分かる。俺様も、冬実も羅維納ちゃん達を置いて行きたくはなかった。でもよ、期限まで後半年なんだ。ここで足踏みしてたら、地獄行きになっちまう。これが互いの為になる最善の選択だったと、分かってくれねぇか?」
「最善の……選択」
虚ろな眼差しをしながら、消え入りそうな小さな声で漸く羅維納の口は、言葉を紡いだ。
互いとは、一人前となった冬実と三繼期。
もう一方の残された側にあたる、羅維納と終の事である。
三繼期の言葉を徐々に受け入れつつあった羅維納の耳に、再び扉の開閉音が聞こえた。
「三繼期。荷物を纏めなくてもいいのか?」
「悪い……今からやるよ」
明るさを失った三繼期の視線が捉えているのは――やはりいつも通りの仏頂面で入口に立っている、終。
終の冷静振りは素と言え、羅維納はショックを隠し切れない。それに拍車をかけるが如く、羅維納の心には疑念が芽生える。――終の心の在り方について。
「……羅維納、今いつもの三繼期みたいな考えを持っているな。『二人がいなくなるのに、何故ショックを受けないのか』って所じゃないか?」
そこまで言い、終は羅維納の元へ更に近付いた。それに気付き、三繼期が羅維納から離れる。
羅維納の目には、涙が浮かんでいた。これだけ潤んだ目を見ると大抵の男は戸惑い、慰めようとアクションを起こすだろう。
しかし、少なくとも終は違っていた。羅維納に好意を寄せる三繼期とも、羅維納を己の性的対象と見ている騎士とも。
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