全ては必然の元に

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「なら、それが私の内面の成長って事になるんですか?」 羅維納がそう尋ねると、終は首肯した。 水平線上にあった夕日は今や殆ど沈み、空の色は赤紫となっていた。それが示すのは時の流れ。 二人は会話に夢中で気付かなかったが、もう夜になりかけているようだ。 「お前のお陰――いや、勿論冬実達もそうだが、で俺は変われたような気がする。あくまで自己判断だがな。とにかく、俺はお前に出会えて良かった。それが言いたかったんだ……」 そう言った終の様子は、どこかぎこちなかった。きっと気恥ずかしくて、仕方なかったのかもしれない。 だがここでも羅維納の鈍感振りが発揮されたらしく、そんな終の気も知らずに、羅維納は終をガンと見つめる。そして静かに言った。 「私も、出会えて良かったです。終さんだけじゃなくて、勿論冬実さんや三繼期さんにも。本当に、良かったです」 「そうか。そう思ってくれているなら、いい。……とにかくもう夜になったみたいだ。帰ろう」 終は羅維納の話を素っ気なく流し、帰宅を促す。 「もうすっかり暗くなっちゃいましたね……帰りましょう」 終の素っ気なさは、元々だ。流石の羅維納でもそれに動じる事はない。 それ故、羅維納もあえて素っ気なく返して見る。 終は羅維納がそう言ったのを聞き届けると、死神界へと戻って行った。 道路に転々と灯る、電灯。いつしか完全に日は沈み、代わりに月が顔を覗かせている。 「今日は三日月かぁ……」 この綺麗な景色に、羅維納は感動のあまり未練たらたらだった。 終が見せてくれた景色を目に確りと焼き付け、羅維納は呟く。 そしてもう一度辺りをぐるっと見回すと、羅維納も死神界へと戻って行った……。 二人の死神が去った後も、その景色の美しさが薄れる事はなかった。 こうして今日(こんにち)も時は流れて行く。 美しいものも、醜いものも、全て併せて。 そんな時の流れもまた、必然と言うべき事柄なのだろうか。恐らくそうかもしれない。だが、はっきりと分かる事でもないのである。
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