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道行く生徒達が、私を不思議そうに見ている。その中を、私は重い足取りで通り過ぎて行く。段々、教室が近付いて来る……。
「キャハハハハハハハ!!」
「早く見せろよ~」
「今日宿題提出だっけ?」
「…………」
クラスメイト達の声が聞こえる。自然と身体に力が入る。行きたくない。行きたくない。行きたくない――…。
でも、行かないと――
『学校休んだら、殺すぞ?』
その言葉が、私の脳裏をぐるぐる廻る。私は学校に行かなくちゃいけない。行かないと殺されるから。
『一年三組』
私のクラスの表札がすぐそこだ。私は震える手で扉に手を付けた。そして、一気に開く。すると、それまで賑わっていた教室内が瞬く間に静かになった。見たくない。下を向いていても視線を感じる。
「おぉー? 来ましたよ根暗真貴ちゃんが!」
「よぉ、根暗!」
「今朝葬式あったのー? 顔色悪いよ?」
「かーわいそーだって。あはは」
私を見る視線は次第と中傷の言葉へと変わっていく……。
私は小さい頃から内気で、友達もあまりいなかった。口下手で話も上手く出来ない所為か、会話の輪から外されるなんてのもしょっちゅうだ。
高校に入った今も、内気な性格と口下手が原因で友達が出来なかった。クラスの人達も私のそんな性格が気に入らなかったのだろう。気が付くと苛めの標的になっていたのだ。
私は倉井真貴、高校一年生。前途の通り、私は今苛められている。
そろそろ学校では文化祭が始まるが、当然私はそれどころではない。だって苛められてるんだもの。楽しめる方が変だろう。私の三組はダンスの発表をすることになった。今日もその練習があるのだ。
六時頃まで私は苛めに耐えなければならない。そんなのツライ。一刻も早く学校から出たいのに。見えない威圧に支配される。相談しても、誰も助けてくれない。私に味方は――いない。
そして時は流れ予鈴が鳴り、先生が入って来る。
「授業始めるぞー号令ー」
「きりーつ」
「れーい」
……授業が始まってから数分。
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