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「俺はここに、っと」
カケルは来ていた上着の袖口、そこに付いているボタンを外し、新たにドラゴンのボタンを付ける。そして腕を胸の前に持ってきてそれを二人に見せつける。
「どうよ?」
「ええ。似合ってますわよ」
「お主が満足なら、それでいいのではないか?」
二人の反応を確認し、カケルは頷く。
「そう? よし、なら問題ないな!
では早速買い出しに……」
椅子から立ち上がったカケルは財布を手に戻ってくる。時計はおよそ午前八時三十分を示しており、大抵の所が九時に開店する事と、移動時間を考えると、今から行っても丁度いいだろうと思ったのだ。
そんな事を考えていると、ムーナに声をかけられる。
「――カケルよ、お主一人で行くつもりか?」
「ええっ!?」
驚いて顔を上げたのはフィアだ。その驚き様は、どうやら当然自分も連れて行ってもらえると思っていたらしい。
「ほら、一応は俺の仕事だからさ」
苦笑いをしてそう告げるカケルの服の袖を、フィアは掴む。一人では行かせないとばかりにその力は強い。
「だっ、だからなんだというのです!
水臭いではありませんか!」
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