<邂逅>

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 好奇心を満たせなかったので幾分後ろ髪を引かれる感じがあるが、今は仕方ない。  カケルが諦めてそろそろ寮に向かおうかと思った時。 「ん……?」  僅かだが森の方から声が聞こえた気がした。足を止めて後ろを振り向くが。当然人の影など見えない。  だが。 「――――――」  僅かで聞き取れないが確かに声が聞こえた!! やはり森の方からだ。  自然と足がそちらを向いた。不思議なものだが、なぜか自分が呼ばれている気がしたのだ。  そして気が付いたらカケルは森の方へと走り出していた。  初めは道を辿って走っていたが、途中で唐突に道が消えていた。だがいまさらそんなことは関係無い。  カケルは膝丈の植物の生い茂る中、ただひたすら無我夢中で走る。  次第にカケルの行く手を阻み始める鬱蒼と茂る草やツタをかき分け、ひたすら前へ前へと進んでいると、ふと一瞬、何かが遠くの方で光った気がした。
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