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「まさかこんな場所にあるなんて…」
まだ子供と大人の中間といった年頃の青年が呟いた。
彼の手には封筒にでも入っていたのだろう、折り目の着いた紙があった。その紙には【転入・編入希望者募集】と大きく書かれていた。
どうやら彼はこれから転入、または編入手続きをする為にどこかへ向かっている最中らしい。
「…編入なのに無条件採用とは随分気前のいい学校だとは思っていたけれど、おっと、…ふう。こんな所にあるのだから当然か…」
地面から飛び出た樹の根を飛び越えたところで額の汗を拭い、
一息ついたところで青年が思わず、といった感じで呟いた。
今彼のいる「こんな所」とはろくに舗装もされておらず、建物の代わりに木々が視野いっぱいに生い茂り、およそ彼の探している建物などは冗談でもなさそうな場所。
つまりは森の中である。
登山ならまだしもこれから登校の為に通わなければならないのだから青年がぼやくのも当然である。
登山家よろしく生い茂る草をかき分け、やっと少しはまともな登山道のような所にでたところで青年はまた口を開いた。
「本当にこんな所に学校なんてあるのか? ……お、やっと見えてきたな。って……え?」
青年は絶句した。
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