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「うおっ!?」
翼が一気に広がり、風圧と唐突な圧迫感にカケルは後ずさる。
「フフッ。頂きですわ!」
「あぁっ!?」
それを見計らったかの様にフィアはカケルに肉薄し、その手から小包をひったくり、ぱたぱたと軽快にリビングへと駆けてゆく。
「なんだ、騒がしい」
軽快な足取りのまま飛び込んできて椅子に座ったフィアに、向かい合う席に座るムーナは煩わしそうな目を向ける。
「カケルが生意気な事をするので驚かしてやったのですわ。ついでに届いたこれを頂戴してきました!」
意気揚々形にして表したかの様なフィアは、戦利品でもあるかの様に小包を見せびらかす。
といっても、外見は茶色い紙で梱包された只の四角い箱なので、どこにも面白みは無いのだが。
「フィア……びっくりさせないでよ…………」
後からカケルが現れる。フィアと違いその足取りは普段通りだ。
「フフッ、オウム返しお返しですわ!」
上手いこと言った、と、言わんばかりに胸を張るフィア。元々あれやこれやと言うつもりは無かったカケルだが、その無邪気な姿にやられ、更に毒気を抜かれるどころか微笑ましく感じてしまう。
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