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「……あー、そうか。まあ、先に開けるような事はしてないみたいだし、いいか」
フィアは大言壮語を吐いてのけたり偉そうな振る舞い等が多々あるのだが、カケルは――恐らくムーナもそうであると思うが――それを不快に思うことは無い。天真爛漫を素でいっており、真っ直ぐだからだ。きっと、親や周囲の環境の賜物なのだろうが……とにもかくにも、周りをほっこりとさせる、そんなドラゴンの少女なのだ。
「なっ、なんですのその生暖かい眼差しは!?
悔しくないのです!?」
してやったと確信していたフィアは、ふとカケルを見て顔に微塵も悔しさを浮かべていない事にうろたえる。
「少なくともわたしなら微塵も悔しく無いどころか呆れるが」
「なっ……!!?」
「ま、まあまあ。取り敢えず何が来たか見ようよ。な?」
一方カケルは穏やかに、ムーナが素で吐いた、火があれば燃え上がりそうな強烈な油に面食らいつつも、慌てて角が立たないようフィアを宥めつつ、話題をすり替える。
「うー……納得いきませんが……わたくしも大人なので許します!」
「それがよい。わたしも気にならぬといえば嘘になるからな」
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