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「お、おおげさだってば。
……まあ、そこまで言われちゃあなぁ……。一緒に行くか」
「――!!
はい! 一緒に行きましょうね、カケル!」
これ以上遠慮した所でフィアは服をがっしりと固く掴んでおり、てこでも動きそうになく、また振り払うなどもっての外。予想外に大事になりカケルは早々に折れる。捨てられた子犬のように潤んだ瞳で見つめられ、今にも泣き出しそうであったのも要因だった。
「わたしも行くぞ」
「まあ、結局はそうなるよね……」
宣言しつつ立ち上がったのはムーナだ。フィアの同行を許した時点で半ばそうなるだろうと思っていたカケルは、ため息も出ない。
「当然だ。大体、お主一人では持てる荷物などたかが知れている。頭数は多ければ多いほど結果的に飯が多くなる」
「あくまでも俺を助けるとかではないのね……」
「当然だ。強くなりたいと願ったのはどこの誰だ?
忘れたとは言わせぬぞ?」
カケル一人に背負わせられないというフィアとは違い、あくまでも己の利益という名の飯の為に腰を上げたムーナ。とはいえ、本心は違う可能性もあるのだが。
「わ、分かったよ……。じゃあ、ありがたく力を借りるよ」
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