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「もちろんです!
……あ。所で、どうやって行くんです?」
手早く身だしなみを整えたフィアは、さて行くぞと玄関へ駆けてゆくが、すぐに巻き戻したかの様に戻って来てひょっこりと顔だけ出して尋ねてくる。どうやら、気持ちだけが先行して、全く考えていなかったようだ。
そんなフィアに少し呆れつつ、カケルは軽く頭の中で計算してから彼女に答える。
「そうだね……最寄りのバス停まで歩いて、そこからバスに乗って、スーパーのすぐ近くにバス停あるからそこで降りる……。
まあ、要はバスでのお出かけだね」
「昼間となると飛ぶことも出来ぬ故、あの遅い箱に入らなければいかんのか」
嫌そうにため息を付くムーナ。独立独歩の気風を感じさせる彼女でも、無用な騒ぎは起こしたくないらしく、昼間飛ぶのは控えるようだ。
「遅い箱って……。そういう認識なんだ」
翼と尾を隠し、普段の亜人の様な見た目から、傍目には完全に人間と変わらない姿となった二人を見つつ、「車」を「箱」と呼ぶ、そんな人間なら絶対にしない表現に価値観の相違を感じるカケル。
しかもムーナは車を遅いと感じるらしい。一体ドラゴンというのは如何程の速さで飛ぶのか。
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