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「あら? もしかしてわたくし達にみとれてるのですか?
フフッ。カケルもやっぱり男の子ですわね」
「なっ!? 違うって!」
「狼狽えれば余計泥沼だぞ?
まあ、わたし達ドラゴン相手なのだからそれが普通なのだがな」
ぼうっと考え事をしていたものだから、それをみとれているとフィアが勘違いする。彼女が頬に手を当て、したり顔でからかってくるものだからそういうつもりではなかったのにカケルは慌ててしまい、どつぼにはまってしまう。しかもそれを更にムーナに指摘される始末である。
「ムーナさんまで……!
あぁもう! 行くよ!!」
たまらずカケルは強引に話を切り上げ玄関から出てゆく。とはいえ、戸締りをしなければならないので二人を置いて先に行く事は出来ないのだが。
「もう、ちょっとからかっただけではないですか。ノリが悪いですカケルは」
つまらなそうにふくれっ面で出てくるのはフィア。続いて出てくるムーナは特に何か言うでもなく、さっさと行くぞという無言の圧力をかけてきている。
「ノリとかそういう問題ではありません。ちょっと子供っぽいよ?」
戸締りを終えたカケルがわざと硬い口調を交えつつ軽く諌めると、フィアは驚きに目を丸くする。
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