136人が本棚に入れています
本棚に追加
「なっ……カケルより何百……えっと、と、とにかくわたくしの方が年上ですわよ!?」
「はいはい、分かったから。歩いて十五分もすればバス停付くからね」
「子供をあやすような返事をしないでくださいっ」
「……全くやかましい」
そんな他愛もないやり取りをしつつ、カケル達は坂を下りバス停へと向かったのだった……………………。
――――家を出てから十数分。山の斜面に建つカケルの家から、歩行者と車道を区切る白線も引かれていない細いアスファルトの道を雑談をしながら歩き、下り坂が平地になり、カケルの家から見下ろしていた小規模な住宅街に入る。
時間帯が比較的早めの為か、誰にも会わず閑静な道を時折木漏れ日を浴びながら歩く。暫くして見えた小川を渡す短い橋を渡り、ガードレールのある今までよりは広い道に出る。そしてそれから一、二分で駄菓子屋の前にあるバス停にたどり着いたのだった。
「――あぁしまった!?」
バス停到着後第一声は、そんなカケルの素っ頓狂な声だった。
「なっ、何がしまったのです?」
頬を伝う汗を拭うのも忘れて両膝に手を付きがくりと俯くカケルに、ムーナと顔を見合わせたフィアは何事かと腰を折り横顔を覗き込む。
最初のコメントを投稿しよう!