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カケルの住むこの街はどう世辞を言っても『都会』ではない。そういった所なら大抵の場合バスを一本逃した所でどうという事もないが、そういった所、“ではない”ここでは全く話が違ってくる。
「ええっ……!?
な、なんでですの!?」
「あえて言葉にするならば、ここが田舎だからだよ……」
そういった所ではない、ざっくばらんに言ってしまえば『田舎』であるここは、行き一時間、帰り一時間の往復二時間のバスなのだ。それ故、一度行きのバスを逃してしまえば、同じ行きのバスに乗るには二時間を要する。
「暑い、なんだか余計に暑くなって来た気がする!」
駄菓子屋の脇にある赤い木のベンチに乱暴に座りながらカケルは愚痴をこぼす。
「全く、情けない。わたしたちは多少の暑さや寒さなどには動じたりはしないというのに」
「それは……今言ってはまずいのでは、ムーナさん……?」
どうせ待つならと丁度彼の隣に座ったばかりのフィアが、相変わらず立ちっぱなしなムーナの何気ない発言に、困ったと言わんばかりの顔をする。
「そうなのか!! ドラゴンってやっぱりすごいんだなぁ……」
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