プロローグ

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「ハッ、ハッ、ハッ…!」 未だに動悸が収まらない。 それも当然だ。計画的とはいえ、両親に黙って家を出てしまったのだから。 自分にそんな度胸があるなんて、思いもしなかった。 私は生唾を飲み込んでハンドルを強く握りしめ、動悸を紛らわせようとした。 お父さん、お母さん、心配してるだろうなぁ。 やっぱり、一言言った方が…いや! 私は一瞬両親に相談しなかった事を後悔したが、その考えを振り切るかの様にバイクの速度を上げた。 言ってしまったら絶対危害を加えてしまう。そうなるとまた、あの惨劇が繰り返される。 だから闘おう。例え一人ぼっちでも、全力を出して闘おう。 繰り返させない為に。人々を守る為に。他人を巻き込まない為に。 明確な決意とは裏腹に、ヘルメットのバイザー越しに見える夜の国道は、いつもより暗く、長く感じた。
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