狩人のマスク

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エレベーターで5階まで降りると、園川の部屋のインターホンを鳴らした。 園川はドアを開けて顔を覗かせると、シホの顔を見て少し目線が止まった。 少し重い空気が流れたかと思うと 「どうぞ」 顔を硬直させたまま中へ案内した。 「おぉう」 「あっ、もう依頼終わったの?」 ユウタとコウスケが床に座っていた。 ユウタは腰を上げると 「さぁ、何か話すことは?」 と両手を広げながら言った。 「…盗聴機仕掛けたの、私じゃないから」 園川はシホを横目で見ると 「嘘つくな。お前以外いない」 と声低く答えた。 「嘘じゃないっ!!コレは自作自演よ!」 「はぁ!?」 園川は鋭くシホの方に顔を向ける。 「自分で盗聴機を仕掛けて、仕掛けれるのは私だけって事に仕向けたの!」 「なっ…何言ってんだよ!?」 園川は思わず立ち上がったが、ユウタが片手で制して宥めた。 「何のために?」 「それは…私が不幸になるのが嬉しいからでしょ!?」 シホが声を荒げると 「なんだよそれ!!」 園川は殴りかかろうとしたが、コウスケにガッシリと掴んで止められた。 「くそっ!!嘘ばっかり言うんじゃねぇ!」 捕まれても、なお園川は暴れる。 「落ち着かないと、両腕外しますよ!」 モモコが一喝すると、園川はビクッとなって動きが止まった。 「そこまで言うなら何か証拠を出したらどうだ?」 ユウタが言うと 「じゃあ…この部屋を調べさせて」 シホは思いの外、落ち着いた声だった。 「勝手にしろよ」 「…良いってさ」 ユウタの声に従い、シホは部屋をガサガサと探った。 タンスや引出しを開けて探すと 「コレは何?」 と何か黒くて手のひらサイズの機械を放り出した。 「…なんだよコレ!?」 「受信機ですかね?」 アンナが覗き込んで言うと 「知らねぇよ、こんなの!!」 園川は大声を上げた。 「ほら、ホントは自分のだったんでしょ?ワザと自分の部屋に仕掛けたんだ」 シホは人差し指を園川に突き付けると、全員園川の方を見た。 「違う!俺のじゃない!」 ユウタは園川の両肩に手を置くと 「…なるほど」 とだけ呟いた。 「ほら、やっぱりこの人がストーカーよ!」 「確かに」 「説得力はあったな」 アンナとユウタは目を見合わせた。
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