milk-dipper

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ヒロキが歌い終わると 「アンコール!アンコール!」 とリオナが煽ると、みんなでコールした。 「じゃあリクエストにお応えして…」 「何でユウタがお応えするの!?」 入れられた曲はアニメソングだった。 全力で歌うヒロキの姿に 「あははは」 「とんちが出来そうにない歌になったね」 再び腹を抱えて笑っていると、コウスケが再びリモコンで歌声を切り替えた。 「コウスケ、タイミング上手すぎ!!」 「ヤバい!!笑い死んじゃうよ!!」 ヒロキが歌い終わった後も腹を抱えて笑っていると 「笑いすぎじゃない?」 ヒロキは周りを見ながら苦笑していた。 ちょうど時間になって部屋を出て、支払いをしにいくと 「おぉ、このクソガキ。また来やがったか」 とレジの老婆が睨んでいた。 「おぅ、ババァ。まだ生きてやがったか」 ユウタが前に出て睨み返した。 「相変わらずアホみたいな顔しやがって」 「うるせぇよババァ!それが客に対する態度か!?」 「ちょ…ちょっと!」 リオナが止めに入ったが 「まぁまぁ」 とヒロキがリオナを止めた。 「親の脛かじりの分際でカラオケなんぞしやがって!」 「ほっとけや!ババァも税金貪ってるクチじゃねぇか!!…ほらよ、ババァの好きな金だ!!」 「おぅ、払うもん払ったらもう返れ!!」 「おぅ、帰ったらぁ!!」 ユウタが出ようとした時 「また来てね」 と老婆は袖を掴んで言うと 「おう、ババァ!大好きじゃ~!!」 とユウタは老婆を抱き締めた。 キョトンとしている中、ヒロキがみんなの背中を押して外へ誘導していると 「元気でな~!!」 「おうっ、長生きしろよ~!!」 とユウタたちはお互い手を振りながら帰っていった。 「…どうなってんの?」 アンナが狐に摘ままれたような顔で聞くと 「なぜかユウタと行くと、毎回こうなるんだよな」 ヒロキは笑いながら答えた。 本当は以前1度だけドッキリとして老婆と打合せしてやったのが始まりだが、行く度にやるのが恒例となっているのであった。 ちなみに、実際は年賀状や暑中見舞を交換するほどの仲である。 「さて、明日は休みだ。集まって会議しようぜ」 ユウタが言うと 「OK」 「じゃあね~」 みんな一斉に解散して帰っていった。
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