milk-dipper

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翌日、ユウタは休みに関わらずいつものように汽車へ乗った。 会社に着くと、いつものフロアーにギター、ベース、ドラム、トロンボーン、それぞれの音響機器が置かれていた。 「うわぁ…」 ユウタは楽器を1つ1つ眺めると、机とイスを端に寄せて広くした。 こうしてみると、立派なスタジオに見える。 満足気に眺めていると、ドアが開いて 「バンドやるんだって?」 とマリーが入ってきた。 「そうですよ」 「ユウタ、何か出来る?私、ギター弾けるけど」 そう言うと、ユウタはスピーカーの電源を入れてベースを手に取って弾き始めた。 「おっ?」 マリーはユウタの音に驚いたが、すぐに合わせてギターを弾いた。 夢中になって音を出しあっていると 「お~っ!!」 「凄~い!!」 アンナとモモコとアリサ、遅れてコウスケが入ってきた。 「ふ~っ、楽しかった」 「俺も久しぶりで楽しかったですよ」 ユウタとマリーは片付けると 「ここ防音だから気兼ねなくやって良いからね」 と手を振って部屋を出ていった。 「アリサ、CD持ってきた?」 「うん、持ってきたよ~」 CDをカバンから出してヒラヒラさせて見せると、普段トレーニングルームに置いてあるCDプレイヤーで聴いた。 「おぉ、コレ!このカンジ!!」 ユウタは頷くと 「まずは曲選びからだねぇ」 アンナは歌詞カードを眺めながら言った。 「期間的に何曲出来るかだねぇ」 「って、しれっとレオカ入ってきたな」 「へへ~っ」 不意にドアが開くと 「うぉっ!?みんないるじゃん」 ヒロキが遅れて入ってきた。 「あれ?リオナ、何でいるの?」 「リオナ?」 「あぁ、レオカ。何でいるの?」 「リアクション薄いなぁっ。昨日こっちに帰ったの!!」 「そのカバンは?」 ヒロキがレオカの手元にある角張ったカバンを指差すと 「コレはサックスだよ」 と自慢そうに開けて見せた。 「…まぁ、今日は楽器いらないつもりだったんだけど」 「えぇ~っ!!」 「今日は曲決めくらいにしようと思ってたんだが…まぁいいか」 ユウタが言うと 「ちょっとモモコ、ギター弾いてみて」 モモコに指差して勧めると 「いいよ」 とギターを手に取って弾き始めた。 「おっ!?上手い。…でも、何か特徴的な動きだなぁ」 モモコのギターを弾きながらゆっくりと首を振る癖を眺めながら苦言を残した。
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