milk-dipper

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3人は車に乗り込むと 「ここへお願いします」 と住所を書いたメモを運転席に座るマリーに渡した。 「了解」 とマリーは車をゆっくり走らせた。 「そいやぁ、リオナどうしてるかな?」 「リオナの事だし、お菓子でも食べてアホみたいな顔してるんじゃないの?」 ユウタとヒロキが笑っていると 「はい」 とレオカから携帯電話を渡された。 「あ・た・し。ユウタちゃん私の事が気になるの?」 「…リオナか」 ユウタは電話からの声に鳥肌を立てた。 「勉強しろよ~!!」 「1日勉強しても変わらないってば」 「…お菓子食ってただろ?」 「何で分かるかな?」 「まぁ、頑張れよ」 ユウタはヒロキに携帯を渡すと 「リオナ頑張れよ…って、切れてるし」 ヒロキはレオカに返した。 「これでリオ、リラックス出来ただろうなぁ」 「そうか?」 「うん、双子なんだからちょっと声聞けば分かるよ」 「そっか」 少し笑うと、静かに前を見た。 玄関のインターホンを鳴らすと 「おぉう、ユウタ」 とヒュウガが出てきた。 「あれ?えっと…関田さん?」 「…まぁ、ヒュウガの知ってる関田さんじゃないけどな」 「双子の妹で~す」 レオカは両手でピースしながら言った。 「…上がって良いかい?」 「おう、どうぞ」 と促されて3人は中に入った。 部屋に上がると、ギターが飾ってあり、パソコンが立ち上げてあった。 「これか」 「あぁ。パソコンにCDを入れてやれば、パソコンが自動でスコアを作成してくれるよ」 「じゃあ早速」 「2曲目だな」 ユウタがCDを入れると、パソコンは唸るような音を立てて読み込んでいた。 「…これでプリントアウト」 プリンターから次々とスコアが出てきた。 「コレ、マジか?」 「貸してみな」 ヒュウガが1枚紙を取ると、スコアを見ながらギターを弾き始めた。 「マジだ!本物だ!」 ヒロキは目を丸くした。 「音のズレもないな」 「よし、どんどん行こう」 小一時間が経つ頃、7曲の印刷が終わった。 「ほ~、コレで全部か」 「ありがとうなっ」 「おう」 ヒュウガの顔からは笑みが溢れた。 「はい、コレ」 「なにこれ?」 「謝礼らしいよ」 ヒュウガは電灯の明かりで透かして見ると 「…こんなに!?」 驚きのあまり固まっていた。
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