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翌日からはそれぞれ個人練習と、2週間に1度の全体練習を行う。
「ほら~っ!ホーン隊の出だし弱いよ~!?」
「アンちゃんこそ歌詞間違えないでよ!調子狂っちゃうじゃん!!」
「ホーン隊の音の弱さで気が散るんですぅ~」
「おい、ケンカすんなって!!」
ある程度上手くなると、全体で衝突が生まれ始める。
負けず嫌いの多いレンジャーズならではである。
「じゃあ、もっかい!!」
「OK」
衝突がありながらも成長していくのもレンジャーズならではである。
どんなにぶつかっても、みんな目標は同じだからだ。
「はい、休憩~っ!」
リオナの合図でみんなイスに座って飲み物を飲むと
「おい、何でヒロキはサイダーなんだ?」
1人だけ泡を立てた飲み物を飲んでいるヒロキをユウタは指差した。
「だって俺、サイダーが好きだから」
「好きだからって、肺が疲れるだろ」
「いいのいいのっ」
「それにしても最近寒くなったねぇ」
リオナは窓の外を見て言うと
「そりゃ11月だからね」
ヒロキが答えた。
「食欲の秋だねぇ」
「レオカ、いっつも食欲だらけじゃん」
「そんなことないよ」
「いつ食欲ないの?」
「ん~…ごちそうさました時?」
「そりゃそうだろ!」
「それにしてもさ、この7曲はどんな順番でやるの?」
アリサが言うと
「う~ん。5曲やって、2曲をアンコールにしようかと」
ユウタは答えた。
「アンコール?」
「アンコール起きなかったら?」
アンナが首をかしげると
「大丈夫だよ、俺たちの演奏なら必ず起きるよ」
ヒロキは笑顔で言った。
「それでも起きなかったら?」
モモコは不安そうな顔をしたが
「そんな時のためにサクラを用意するんだよ」
「さくら?」
翌日。
「おぅ、ニシバヤシ」
「おうヒロキ」
「クリスマスイブ、ヒマだよな?」
「なんだよ!?…ヒマだけど」
ニシバヤシはムッとした顔をしていた。
「ライブやるから見に来ないか?」
「だれの?」
「俺たちの」
「マジで!?いくいく!!」
「じゃあいつもみたいに騒いでくれたら良いから」
「ん?どういう意味だ!?」
ヒロキは黙って後ろ手に手を振った。
ニシバヤシはユウタとヒロキのクラスメイトであり、バンドのライブが大好きである。
ライブの時に一番ノリノリになるため、客も釣られて騒ぐのでバンドマンの間で“サクラ”と呼ばれている。
勿論、本人は知らないのである。
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