milk-dipper

16/28
前へ
/129ページ
次へ
そして当日。 2学期の終業式も昨日で終わり、今日から冬休み。 「今度は学園祭無いからゆっくりバイト出来るね」 ヒロキが言うと 「うん、そうだね」 リオナが笑顔で答えた。 あれからリオナも推薦入学を無事合格し、周囲より早くも受験から解放されたのだった。 「まだ時間あるけど、音合わせる?」 「軽~くねっ」 全員で1曲流すと 「バッチリ!」 「じゃあ着替えようか」 持ってきた私服にそれぞれ着替えた。 一番早く着替えたのは男性陣だった。 「うわっ!ヒロキ、ハーパンかよ!?」 「少年ボーイか!?」 ヒロキはハーフパンツに厚手のパーカーを着ていた。 「薄着の2人に言われたくないね」 「厚手の服は袖がジャマなんだよ」 「俺も。スティック振るのに重いし」 待っていると、女子陣も着替え終わって出てきた。 「相変わらず、リオナとレオカの服のチョイスが一緒だな」 「うん」 「着替えてる時そう思った」 リオナとレオカは色違いなだけで、同じ様な服を着ていた。 「アンちゃんの服カワイイな」 「アリサの服はカッコイイじゃん」 2人ともデニムではあったが、対比する上着が体格に合わせて全く別のファッションに見える。 「アレ?モモコは?」 「何かモタモタしてたけど」 不意にドアが開いて 「おまたせ~」 とモモコが入ってきた。 「…おっ!!」 コウスケが珍しく声を上げていて、みんなモモコを見ると 「なんだよそれ?」 ユウタは驚きのあまり声が霞んでいた。 モモコは目の周りのアイラインを黒く塗り、真っ黒な口紅をして、黒のドレスを身に纏っていた。 「なにって?」 「バンドやる格好してこいって言ったじゃん」 「だからこの格好なんじゃん」 ユウタは混乱した頭をフル回転させていた。 モモコは時々トレーニングルームでCDを流しているが、ジャケット写真の人たちはこんな格好をしたビジュアル系バンドであった。 「そういうことか…」 ユウタはモモコの格好を改めて見て呟いた。 「モモコ、1人だけ違うよ」 アリサが言うと 「えぇっ!?みんな化粧してないだけじゃなかったの?」 ようやく気付いた様である。 「服これしかないよ」 「え~っ!!」 「…メイクだけでも落としたら?」 アンナの一言に 「あ、そっか」 とモモコは部屋を出て化粧を落としに行った。
/129ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加