milk-dipper

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「よし、そろそろスタンバイしようか」 リオナが言うと、それぞれ楽器を持って舞台袖へ行った。 まだ前の出し物をやっている最中で、それを真横からそっと覗いた。 「う~、緊張してきた」 レオカは顔をひきつらせながらも笑顔を見せた。 モモコはギターの弦を調整して音を合わせると 「ちゃんとコーラス出来るかなぁ」 「大丈夫。メインコーラスは私が声出すし、ギターソロに集中してても良いよ」 「うん」 アリサは笑い掛けた。 「よし、準備するよ」 舞台の幕が下がって、コウスケのドラムセットを置いたり、ギターのアンプ、スタンドマイク、飲み水を配置していった。 音の確認をすると 「はい、スタンバイOKです」 レオカの合図に一旦舞台袖へ戻った。 アナウンスが入り全員で顔を見合わせていると、幕が上がった。 ライトが当てられて1人1人ステージに上がると、キョロキョロしながらヒロキが遅れてステージに上がった。 コウスケのカウントから演奏が始まると、ギターとベースの音に乗せられてサックスの音が鳴り響いた。 トロンボーンが後を追うように鳴ると、ヒロキは周りに合わせながらトライアングルを鳴らした。 一瞬演奏が止まるとヒロキに視線が集められて、ヒロキはトライアングルを素早く連打で鳴らすと、客席から失笑された。 再び演奏が再開されて1曲目を終えると 「はい、ハンちゃん」 アンナは口を付けるリードを交換して、トロンボーンをヒロキに返した。 ヒロキは少し赤い顔をしながらも安心した顔で受けとると、所定の位置に戻った。 間もなく2曲目が始まると、ユウタの掛け声と共に演奏が盛り上がり、客も次第にステージ前へ詰めて見始めた。 クラスメイトのニシバヤシにあらかじめ指示した通り、ニシバヤシはステージ真ん中寄りの一番前で見ていた。 ニシバヤシがノリノリで音楽に合わせて腕を振ると、客たちも次第に腕を振り始めた。 アンナの歌声が入ると、バンドとしての形が完成されて、更に客たちの盛り上がりはヒートアップしていった。 客からの熱気で、真冬に関わらず汗が浮かぶ。 最後のサビの前で、盛り上げる演出のため全員でジャンプすると、客たちから歓声が上がった。 2曲目が終わると、客から割れんばかりの拍手が送られた。
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