3人が本棚に入れています
本棚に追加
「よし、そろそろスタンバイしようか」
リオナが言うと、それぞれ楽器を持って舞台袖へ行った。
まだ前の出し物をやっている最中で、それを真横からそっと覗いた。
「う~、緊張してきた」
レオカは顔をひきつらせながらも笑顔を見せた。
モモコはギターの弦を調整して音を合わせると
「ちゃんとコーラス出来るかなぁ」
「大丈夫。メインコーラスは私が声出すし、ギターソロに集中してても良いよ」
「うん」
アリサは笑い掛けた。
「よし、準備するよ」
舞台の幕が下がって、コウスケのドラムセットを置いたり、ギターのアンプ、スタンドマイク、飲み水を配置していった。
音の確認をすると
「はい、スタンバイOKです」
レオカの合図に一旦舞台袖へ戻った。
アナウンスが入り全員で顔を見合わせていると、幕が上がった。
ライトが当てられて1人1人ステージに上がると、キョロキョロしながらヒロキが遅れてステージに上がった。
コウスケのカウントから演奏が始まると、ギターとベースの音に乗せられてサックスの音が鳴り響いた。
トロンボーンが後を追うように鳴ると、ヒロキは周りに合わせながらトライアングルを鳴らした。
一瞬演奏が止まるとヒロキに視線が集められて、ヒロキはトライアングルを素早く連打で鳴らすと、客席から失笑された。
再び演奏が再開されて1曲目を終えると
「はい、ハンちゃん」
アンナは口を付けるリードを交換して、トロンボーンをヒロキに返した。
ヒロキは少し赤い顔をしながらも安心した顔で受けとると、所定の位置に戻った。
間もなく2曲目が始まると、ユウタの掛け声と共に演奏が盛り上がり、客も次第にステージ前へ詰めて見始めた。
クラスメイトのニシバヤシにあらかじめ指示した通り、ニシバヤシはステージ真ん中寄りの一番前で見ていた。
ニシバヤシがノリノリで音楽に合わせて腕を振ると、客たちも次第に腕を振り始めた。
アンナの歌声が入ると、バンドとしての形が完成されて、更に客たちの盛り上がりはヒートアップしていった。
客からの熱気で、真冬に関わらず汗が浮かぶ。
最後のサビの前で、盛り上げる演出のため全員でジャンプすると、客たちから歓声が上がった。
2曲目が終わると、客から割れんばかりの拍手が送られた。
最初のコメントを投稿しよう!