milk-dipper

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リオナはマイクに手を掛けると 「こんにちは、kid a goです」 の声に反応して客席から歓声が上がった。 「ここでメンバー紹介をします。ギターのモモコ!」 「ベースのユウタ!」 「ドラムのコウスケ!」 「トロンボーンのアリサ!」 「サックスのリオナとレオカ」 「まとめないでよ~」 「そして私、ボーカルのアンナで~す」 「ちょっ!俺は」 ヒロキは自分を指差した。 「あ…トライアングルのハンちゃん」 「なんでだよ!」 客席から笑い声が起こった。 「まだまだ盛り上げていくんで」 「そこんとこヨロシクゥ~!」 コウスケがシンバルを3度鳴らすと、ユウタがベースを弾いた。 管楽器の音でイントロが完成すると、ドラムのリズムが加速する。 サビでアンナが拳を振り上げると、客席も合わせて手を挙げる。 3曲目から急にトーンダウンしてモモコの静かなギターから入ると、4曲目は淑やかなバラードとなった。 ゆっくりな手拍子に歌い上げると、再びリズムを上げた5曲目が始まった。 間奏にはモモコとユウタのボーカルパートがあり、客席からも煽りを受けて歌い上げた。 「いぇ~い!」 「盛り上がってるねぇ!」 観客から声が返って来た。 「えぇ~、イベント告知?…あぁ、本日はチャリティーイベントです。出入口付近の募金箱に募金をお願いします」 「うわっ!」 飲み物を飲もうとしたヒロキのジュースが吹き出していた。 「も~!!」 怒るヒロキをよそに笑われると 「なにやってんの~!!」 とリオナは指差しながら言った。 「それじゃあ残り1曲です!」 客席から終わりを惜しむ声がして 「最後まで盛り上がりましょう」 とアンナが言うと、ドラムのカウントから管楽器が始まり、リオナのソロボーカルから始まり、アリサからアンナへとボーカルを変えた。 モモコはギターソロになると、頭をゆっくり振らしながら弾き、ユウタもそれに合わせた。 曲の最後で皆でコーラスを歌うと、最後まで客は盛り上がり続けた。 そして、戻ったあとの楽屋内でのヒロキのぶちギレ事件と発展したのである。
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