milk-dipper

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「またまたぁ、照れちゃってぇ!」 「いや、マジです」 「そのうち会えるわよ…ウフフフ…」 不気味な笑い声に電話が切れると、ユウタはリオナに携帯電話を返した。 「ユウタ、我が妹が欲しければ私を倒していきなさい」 「またそれかよ。いいよ、俺の敗けで」 ユウタが机に前のめりになった所、リオナはユウタを蹴ろうとした。 しかし、テーブルの脚に脛を打ち付けた。 リオナは思わずうずくまっていると 「何やってんの」 ユウタは目を細めて言った。 「しかたない。妹は持っていきなさい」 「いらねぇって!」 「その代わり、私のことは『お姉さん』と呼びなさい」 「呼ばねぇって!」 「ちょっと呼んでみて」 「…お姉さん」 ユウタの声にリオナは眉間にシワを寄せながら目を閉じて聞き入った。 カッと目を見開いて 「なぁに、ユウくん」 と笑顔で言うと 「気持ちわるっ!!何だよユウくんって」 完全に惹いていた。 「いやぁ、18年生きてきて『お姉さん』なんて呼ばれた事ないもん」 「そりゃ私もだよ」 アンナが自分を指差しながら言うと 「私は妹に『姉ちゃん』って呼ばれるよ」 モモコは笑顔で言った。 「あ、モモコって弟と妹がいるんだよな」 「うん。リュウタロウとミキコね」 「お姉ちゃんだけどボケボケなんだな」 「ボケボケはユウタでしょ!?」 「…どっちもどっちだよ」 暫くすると下畑が入ってきた。 「みなさんお久しぶりです」 「お久しぶりで~す」 「いやぁ下畑さん見ると『レンジャーズに戻ってきた』ってカンジですよ」 「ははは…そうですか」 下畑は笑いながら資料を開いた。 「それで、先日連絡が行ってると思いますが…その前に、夏からの勤務継続に感謝しております」 下畑は頭を下げると 「いいえ~、最後まで楽しかったですもん」 「ユウタ以外はね」 「うるせぇ!!」 ユウタが言うと、下畑は申し訳なさそうにも笑った。 「その後お体の方はどうですか?」 「バッチリですよ」 「そうですか」 「それより、今日何で集められたんですか?」 「あぁ、失礼。実はクリスマスに、ゆうふる会館でチャリティーイベントがありましてね」 「あぁ、毎年ありますよね」 リオナが言うと 「えぇ、実は」 と言いかけたが 「『何かやれ』と?」 ユウタが被せて言った。
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