狩人のマスク

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シホはテーブルにミートスパゲッティとサラダを並べた。 「どうぞ、食べて」 「はぁい」 「いただきます」 アンナとモモコはスパゲッティを頬張ると 「どう?」 シホは2人の顔を見た。 「美味しいですよ!」 「うん、美味しい」 「良かった」 シホは少し笑んだが 「最近じゃ食べてくれる人いなくて」 と続けて言う目は少し哀しげだった。 少し気まずくなって、気を使って2人は何とか話をしたが、内容は全く覚えていない。 アンナは食器を洗って 「それじゃあ今日はここらへんで帰りますね」 手を拭きながら言うと 「うん」 シホは頷いた。 「明日はバイトの帰りに後ろから援護しますので」 「…了解っ」 アンナとモモコは靴を履いて部屋を出た。 「さて、帰ろうか」 「うん、帰ろ」 2人は軽快な足取りでエレベーターへ乗り込み、家路に着いた。 翌日、いつものようにトレーニングルームで体を動かしていると 「よ~っす」 ユウタとリオナが揃って入ってきた。 「も~、アンちゃん聞いてよ!ハンちゃんったら仕事終わったと思ったら仕事増やしたんだよ~」 リオナが言うと 「それ謝ったじゃん!ってかバケツあんなところに置いとくのが悪いんでしょうが!」 ヒロキがいつもの逆ギレで言い返した。 「ユウタはどうだった?」 「いやぁ、コウスケのせいで荷物持って走りまくったし」 ユウタが言うと、コウスケはニヤッと愛想笑いを浮かべた。 「つか、なんだよ!ヘリクツの神様って!」 ユウタはモモコの方を向いて言うと 「だってよくヘリクツ言ってるじゃん」 と指差した。 「はぁ!?言ってねぇだろ」 「いや、言ってる」 「…ヘリクツ太郎」 「誰がヘリクツ太郎だ!?」 ユウタの声にみんな笑った。 「アンちゃんたちはどうだった?」 レオカが聞くと 「あぁ…話して、買い物行って、晩御飯ご馳走になったよ」 アンナは指折り答えた。 「OLの休日か!?」 ユウタが呆れたように言うと 「…たしかアンちゃんたち“ストーカー調査”じゃなかった?」 アリサが横から聞いてきた。 「ちゃんと調べたよ!ねっ?」 「うん、ストーカー見付けたし」 モモコはニコニコして言ったが 「早すぎじゃね?」 ヒロキが両手で指差して言った。 「確かに…早いな」 コウスケはボソッと言うと 「こっちもコウスケが動いてりゃ早かったよ!」 ユウタは背中を叩いた。
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