狩人のマスク

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「いや…そうじゃなくて」 コウスケはまた話を続けた。 「見付かるのが早くないかって」 「そうか?…んまぁ、確かにストーカー調査って何日もかけて捕まえるけど」 ユウタは腕を組んで考えた。 「たまたまって事もあるでしょ?」 リオナは腰に手を当てて言うと 「そうそう、あくまで“確率”じゃない?」 レオカも同じポーズをしていた。 「まぁね…」 コウスケは少し唸るとすぐ黙った。 「それはそうと、何食べたの?」 「ハンちゃん食い意地が張ってるねぇ」 「…リオナに言われたくねぇよ」 ヒロキはムッとしながら言った。 「えっとね、ミートスパゲッティ!」 「あと野菜サラダ!」 「…普通に女子料理だね」 アリサは微笑みながら言うと 「うん、凄く美味しかったよ」 「美味しかった美味しかった」 アンナとモモコは微笑み返した。 「んで、いつストーカーを見付けたんだ?」 ユウタは組んだ腕を緩めた。 「えっと、晩御飯の買い出し行った帰りだよね」 モモコが先に言うと 「そうそう。後ろいたんだけど、途中で消えちゃった」 アンナが続けた。 「アンナたちが居たから逃げたんじゃない?」 「…あっ!!」 アンナは急に大きな声を出すと 「そういえば『バイトの帰りに後をつけられてる』って言ってたのに、昨日はコンビニ行った帰りにつけられてた!違和感はそれかも」 アンナは人差し指を立てた。 「それも、たまたまかもよ?」 リオナは口をへの字に曲げた。 「何買いに行ったの?」 「ハンちゃん、関係無い話しないっ!」 「なんだよ!俺を置いて行くなよ!」 ヒロキが理不尽に怒鳴ると 「あはは、みりんを買いに行ったんだよ」 アンナは笑いながら答えた。 「ん?みりん使ってねぇじゃん」 「えっ!?」 アンナの顔が止まると 「…ホントだ~!」 レオカは目を見開いた。 「これで偶然が3つ重なったな」 「偶然じゃなさそうだね」 リオナは頷くと 「ほらほら、俺の質問は意味あったじゃん」 ヒロキは嬉しそうにしていた。 「はいはい」 思いの外、みんなリアクションは冷たかった。 「とりあえず、ストーカー捕まえるのが解決への糸口だな」 ユウタはアンナの肩をポンと叩いた。 「カギはストーカーだ」 珍しく喋るコウスケに、アンナは若干驚いた。
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