狩人のマスク

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アンナとモモコは車に乗ると 「今日はみんな昨日の続きだね」 「うん」 シートに腰掛けながらカバンを空いている所に置いた。 「シホさん、バイト終わるまで時間があるね」 アンナは携帯電話を開いて液晶をジッと見た。 「それまで暇だね…どうする?」 モモコは車の天井を見上げると 「そりゃもちろん…」 アンナはニヤッと笑った。 日も沈んで辺りが薄暗くなった頃 「あ、出てきたよ」 2人は物陰からバイト先を出てきたシホを見付けた。 少し距離を置いて後をつけると 「…なんか私たちがストーカーみたいだね」 「余計なこと言わないっ」 モモコの頭を小突いた。 「後ろ、誰かいる?」 「ん?分かんない」 「えぇ?」 「私、目ぇ悪いから」 「んもぅ!前見といてっ!」 モモコはジッとシホの方を見て、アンナは後ろを振り返った。 「誰もいない…か」 「ほら、あっち行ったよ」 モモコが指差す方をアンナはついていった。 しばらく歩くと 「ん?」 アンナは眉間にシワを寄せた。 携帯電話をカチカチといじると 「どうしたの?」 モモコはアンナの携帯電話の液晶を覗き込んだ。 「やっぱり」 「んん?どうした?」 アンナは液晶を指差して 「この道、遠回りだよ」 と言うとモモコは 「えぇ!?よく気付いたね」 と目を大きく開いた。 「さすが方向音痴」 「そうだけど!」 曲がり角を曲がった頃 「あっ!!」 昨日見た人影を見付けた。 「捕まえるよ!」 アンナとモモコは人影に向かって走り出すと、人影も振り返って走り出した。 わずかに漏れる声で男だと察した。 男はカバンを片手に走っているが、思ったより足が早い。 「モモコ、そのまま追って!」 「はいよ!」 どんなに足が早くても、10分も全力疾走出来る人はいない。 離されないように追い掛けて、疲れて速度が落ちたところを捕まえる。 モモコはレンジャーズ内でトップクラスのスタミナがあることから、追跡に適しているのである。 アンナは狭い路地から近道を選ぶと、男のすぐ後ろへ出た。 スタミナ切れで速度が落ち、足が止まりかけると 「覚悟っ!」 とアンナは勢いそのまま飛び蹴りを放った。 誰かの声が自分の声と重なった気がした。 違う誰かが男の前に飛び込むと、蹴りを受けて転がった。 「あれ!?」 アンナは転がっている人の顔を見て思わず声を上げた。 「コウスケくん!?」
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