milk-dipper

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下畑は頷きながら 「よく分かりましたね」 と言うと 「レンジャーズのムチャ振りくらい目に見えてますよ」 ユウタは呆れ顔で答えた。 「実は紙芝居を上層部は大変良く評価しておりましてね。『今回もまた面白いことやるだろう』って事でして」 「買い被り過ぎですよ」 ヒロキは苦笑しつつ言った。 「それで、プログラムに1枠組み込みますので、自由に何かやって下さいとの事です」 「えぇ~!?ムチャ振り度がハンパないよ」 アンナが言うと 「所要時間は?」 ユウタが尋ねた。 「30分です」 「長っ!!」 「ですから、製作や練習時間を予て2ヶ月としてあるんですよ」 「…キャンセルは?」 リオナが恐る恐る聞くと 「もちろん、それが今なら可能な時期でもあるのです。…まぁ、みなさんならキャンセルしないと思いますけど」 澄まし顔で答えた。 「下畑さん、変わりましたね」 「ちょっとみんなで話し合わせさせて下さい」 「分かりました」 下畑が出ていった後、ユウタはホワイトボードに概要を書き込んでから 「どうする?」 と言うと 「私は…分かんないなぁ」 リオナは首を傾けた。 「明後日の試験で落ちちゃうと、大学は一般入試で冬休みは勉強ばっかりになりそうだし」 「あぁ、そうか」 「まぁ、90%受かると思うけど、120%不安で、100%は受からないから、70%落ち込んでて…」 「…結局何%の話だ?」 「まぁ、どっちみち学校もあるんだし、紙芝居の時みたいな時間の取り方は出来ないでしょ?少しの時間でコツコツやって出来るモノをやるなら良いんじゃない?」 「さすがアンナ」 ユウタが指差して誉めるとアンナは笑顔で返した。 「じゃあ、なにやる?」 「30分だからお芝居は?」 「え~っ」 「台本探しとか小道具とか衣装手配しながら演技練習してたら時間ないって」 「じゃあダンス」 「30分も体力もつかよ。ヒロキ、マジメに考えろよ」 「何でリオナは怒られずに、俺だけ怒られるの!?」 「また紙芝居は?」 「…地獄を見てえのか?」 重い空気の中、ドアが開くと 「お待たせ~」 とアリサが入ってきた。 「アリサ~、今なにやるか話合ってるんだよ」 「ふぅ~ん」 アリサはホワイトボードに書いてある概要を見ながら、じっと考え込んだ。
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