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時計の裏には、明らかに時計の部品と違う小さな機具が乾電池に繋がれていた。
ユウタは取り外して携帯電話のカメラで撮ってマリーへメールした。
少し待つと電話が掛かってきた。
「あ、もしもし?それ、盗聴機で間違いないね」
「そうですか。電波範囲は?」
「半径100mってトコだね。どこで見付けた?」
「荷物のお届け先です」
ユウタはチラッと園川の方を見た。
「ん~、追加調査したいねぇ」
「そうですね。調べるだけでも…」
「明日も同じ依頼だから、依頼前に探知機で調べなさい」
「分かりました」
ユウタは携帯電話を閉じると
「明日、また調べに来ます。他に何かあればウチの会社へ依頼をお願いします」
と園川の方を向いて言った。
「ウチって…」
「あ、レンジャーズです」
ユウタはジャンパーのジッパーを開いて制服を見せた。
「…分かった。宜しく頼むよ」
「一応、携帯の番号を教えときますから」
携帯電話を近づけて赤外線通信で番号を教えると
「それでは、また明日」
ユウタはニッコリと笑顔で玄関を出た。
自動ドアを抜けて外へ出ると、コウスケはボーッと携帯電話をイジっていた。
「うぉ~い!」
「お?遅かったな!」
コウスケは携帯電話の液晶からユウタに目線を変えた。
「遅いって思うなら持っていけよ~」
「持っていったよ」
荷台を見ると、荷物はもう無かった。
「うわっ!出来るなら最初からやってくれよ」
「…いいから、もう戻るぞ」
2人でリアカーを押して帰った。
リアカーを元あった場所に戻すと
「ご苦労様です」
と運送会社の事務員が出てきた。
「それじゃあ明日も…」
「それが…明日もこちらに来る前に依頼がありまして、少し遅れると思います」
「そうですか、じゃあ明日の運送量も今日と同じくらいにしておきますね」
事務員は頭を下げると、ユウタとコウスケも頭を下げて、迎えに来た会社の車に乗って帰った。
「依頼前の依頼って?」
「あぁ、盗聴機探すんだ」
「…今日の、あのマンションか」
コウスケはシートにどっかりと寄り掛かった。
「まぁ、調べるだけだ。ただ、脅迫されてるみたいだがな」
「そりゃ、ややこしそうだな」
「あぁ」
ユウタは飲み物を飲んで一息つくと、くだらない話をしながら帰路へついた。
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