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翌日、マリーから盗聴器用の探知機を受けとると
「昨日見付けた盗聴機は?」
「あぁ、持って帰りましたよ」
ユウタはマリーに渡した。
「ん~、シリアルコード残ってるから、買った人調べてみるよ」
マリーは受けとると、カチカチとパソコンを操作した。
「じゃあ、他に無いか調べてきます」
先に外で待っていたコウスケと一緒に車に乗り込んだ。
園川の住むマンションに着くと
「カギは?」
「今朝電話して出入口ポストに入れておいてもらった」
ユウタは園川の部屋の番号のポストを開けた。
中には郵便物にカモフラージュさせた封筒と広告紙が入れられており、封筒から中身を取り出すと、部屋のカギが出てきた。
カギを自動ドア横の機械の鍵穴に射し込むと、自動ドアは開いた。
ユウタはコウスケの方を向いてニヤッと笑うと、中に入ってエレベーターに乗った。
そのまま部屋に向かって玄関のカギを開けて入った。
「さて…調査」
ユウタは靴を脱ぎながら探知機の電源を入れた。
「ん~」
ユウタは唸りながら探すと、探知機のブザーが鳴った。
「あった?」
「あぁ、この辺り」
ユウタは部屋をキョロキョロと探すと、1箇所だけブザーが強く鳴った。
「ん!?」
「どうした?」
「…嘘だろ!?」
探知機が強く鳴ったのは壁掛け時計の前であった。
コウスケは時計を外すと
「昨日外したんじゃなかったのか?」
時計裏に盗聴機が再び付けられていた。
取り外すとブザーは鳴り止んだ。
ユウタは携帯電話でマリーに電話をしている間、コウスケは探知機で他の部屋を調べた。
ユウタは電話を切ると
「他には無さそうだぞ」
コウスケは探知機をユウタに返した。
部屋のカギを閉めてエレベーターで降り、出入口ポストへ再び封筒に入れて押し込むと外に出た。
「何でまた盗聴機が?」
ユウタは首をかしげながら歩いて運送会社へ向かった。
不意に携帯電話が鳴り、液晶を見ると園川だった。
すぐに出ると
「もしもし?いまどこ!?」
とずいぶん焦っている声だった。
「今、園川さんのマンションです」
「…助けてくれ」
「今どこです!?」
「うちのマンションの近くのパン屋の方に走ってる」
「…パン屋ですね」
ユウタは電子地図で場所を調べると、コウスケと走り出した。
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