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園川の部屋を出て、モモコがドアをパタンと閉めると
「園川さんから色々話聞けたね」
アンナは腰に手を当てて言った。
「ん~、シホさんの話も聞いて事実を確かめなきゃね」
「うん、そろそろ帰ってる頃だよ」
モモコが先に歩いてエレベーターに乗って7階を押した。
「待った!」
アンナはすぐに1階を押した。
「このまま行ったら『どうやってマンションに入ったのか』って疑われちゃうでしょ?」
「あ、そっか。園川さんと繋がりがバレるかもしれないしね」
1度7階のドアが開いて、すぐにボタンを押してドアを閉めて1階へ降りた。
自動ドアを一旦出て、少し待ってからシホの部屋の番号を押して呼び出した。
「はい」
「レンジャーズです」
「今日の報告に来ました」
「…はぁい」
自動ドアが開いてアンナたちは再び中に入った。
ジッとエレベーター内に表示される階の数字を見ながら、頭の中で今までの話を整理した。
シホの部屋のインターホンを鳴らすと
「どうぞ上がって」
シホはニコッと笑って招き入れた。
部屋に入って、アンナとモモコは床に座ると
「それで、どうだった?」
シホの声にモモコは少しビクッとしたが、アンナは全く動じていなかった。
「確保しましたよ」
「うそ!?ホントに?」
「はい」
「何て名前の人だった?」
アンナはジッとシホの目を見つめる中、モモコは辺りをキョロキョロ見渡していた。
「相手の名前は…ソノカワノゾムという人でした」
アンナが言うと、シホは目を見開き
「…元カレだ」
と声を漏らした。
「それで、警察に突き出したの?」
「それは今、ウチの方で事情聴取中でして…」
アンナは顔を緩ませると、シホはキッと睨むように見つめた。
「どうして?」
「なんか、部屋に盗聴機が仕掛けられていたんですよ」
モモコが言うと一瞬シホの表情が止まった。
すぐに表情を戻して
「へぇー、そうなんだ。誰が仕掛けたの?」
と聞いてきた。
「それはまだ分かってません」
アンナは首を横に降りながら答えた。
「そうなんだ。ここも泥棒が入れるんだね。“セキュリティ万全”がウリなのに」
シホは少し笑いながら言うと
「それが、ここのカギって並のピッキングじゃ開かないんですよ」
アンナは相変わらず落ち着いた様子でゆっくり話した。
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