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ユウタは無言で片手の関節をパキパキと鳴らし
「それじゃあ何で俺たちが来るタイミングで盗聴機が仕掛けてあったんだ?」
と聞くと
「それは…玄関のインターホンがあったでしょ?アレにはカメラが付いてて部屋のモニターで顔が見えるのよ。だから、部屋に来るまでに付けたのよ」
シホは少し早口で答えた。
「でも、確か園川さんって機械オンチですよね?」
モモコが首を傾げながら聞くと
「電池に繋げるだけの盗聴機なら誰にでも付けられるでしょ?」
シホは人差し指を立てて話した。
「それに…ほらっ!私なら時計に指先しか届かない」
シホは時計へ手を伸ばして見せた。
「話は戻るけど、どうして玄関のインターホンの時点で俺がレンジャーズだって分かったんだ?」
「えっ!?」
ユウタの言葉にシホは目を見開いた。
「俺は間違いなくレンジャーズと名乗って無いぞ」
「それは…その制服を知ってたから見て気付いたんでしょ?」
「そんなわけないだろ!?」
園川の大きな声が部屋中に響いた。
「嘘ばっかり言わないでよ」
シホが目を細めて言ったが
「残念ながら、仮に園川さんが制服を知ってても、俺をレンジャーズだって分かるはずがない 」
ユウタは首を横に降った。
「…どうして?」
シホの困惑した目を見ながら
「俺たち、運送屋に支給された服を上に着てたんだよ」
ユウタは声低く答えた。
シホの顔から動揺の色がはっきりと見えた。
「それは…偶然顔を知ってたんだよ」
「へぇ。でも、制服見たら普通『転職したんだ』って思わないか?」
ユウタはニヤッと不適に笑った。
「でも、『レンジャーズと繋がりはまだあるかも』って思ったんだよ」
ユウタはシホの方を見ると
「なかったら?」
と両腕を広げて聞いた。
「無かったらまた違う機会に…」
「それなら最初からレンジャーズとか、探偵事務所に依頼するでしょ?」
「それは…」
シホは答えにくそうにしていると
「それにしても、シホさん。とんでもないことを口走りましたね」
アンナが腕を組んで言った。
「えっ!?なにを?」
「さっきから1度も“時計に盗聴機が仕掛けられてた”なんて話してませんでしたよね?」
シホの目がギョッと見開くと
「あっ、確かに。盗聴機の話はしたけどね」
モモコの声にシホの顔は強張っていった。
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