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Never Shine
大晦日。
昼前にヒロキの携帯電話が鳴ると
「掃除終わった?」
ユウタの声が受話器から聞こえた。
「終わったよ~。昨日からやってたからね」
「そうかそうか、今から遊ぼうぜよ♪」
「うん、良いよ。何時から?」
「ってか、もうヒロキの家の前なんだけどな」
ヒロキがあわてて窓から玄関の方を見ると、携帯電話片手にユウタが立っていた。
「うわっ!マジか!?」
ヒロキは携帯電話を切って玄関の方へ行ってドアを開けると
「よっす~」
ユウタがピースサインをして待ち構えていた。
「よっす~、じゃないって!マジでビビったし」
「ははは」
ユウタは笑ってごまかした。
「何か食い物買いに行こうぜ」
「あぁ、うん。今日は母さんいないから昼御飯無いし」
ヒロキは家の中から上着をとってくると、それを着て近くのスーパーへ向かった。
ユウタは買い物かごとカートを出すと
「よ~し、今日は一緒に年越しだ」
と店内を駆け出した。
惣菜売り場まで行くと
「じゃあ景気付けに寿司いくかぁっ」
と大きな容器に握り寿司が沢山入ったパーティーセットをヒロキがかごに入れた。
「良いねぇ、それ2つ」
もう1つをかごに入れて、飲み物のコーナーへ行ってお茶とジュースを2本づついれると、すぐに隣のお菓子コーナーへ行ってユウタは菓子をどんどん詰めた。
「おいおい、2人でどんだけ食うんだよ」
「むしろ足りないかもな」
「何でだよ!」
かごに山盛り積んだ状でレジへ行った。
大晦日だから買い出しに来ている人が多く、レジは混んでいた。
30分後ようやくレジに到達して会計を済ませた。
袋に買ったものを丁寧に積めると、袋は4つになった。
「んっ、結構重いね」
「重いな」
両手に大きな荷物を持ってスーパーを出た。
「アレ?コウスケくん!?」
出口すぐのところでコウスケと鉢合わせた。
「奇遇だね」
「ん~?まぁ…」
「今からウチでご飯食べるけど来ない?」
「…1つ持ってやるよ」
コウスケは袋1つをヒロキから受けとると、ヒロキの家の方へ向かった。
「ちょっと待ってよ」
ヒロキはポケットからカギを取り出して開けようとしたが、玄関のカギは既に開いていた。
「やっべ!カギし忘れてたらしい」
「うわっ、物騒だな」
ユウタたちに言われながらドアを開けて中に入った。
「ん?知らない靴がある!」
玄関の靴を見ていると、奥からリオナが出てきた。
「あーっ、おかえり~」
「何でリオナが家にいるんだよ!?」
ヒロキは目を白黒させた。
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