Never Shine

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ヒロキの部屋の前で遊んでいると 「ただいまぁ」 アンナたちが戻ってきた。 「おぉ、随分遅かったな」 「…何やってんの?」 「ヒロキの部屋にエロ本があるらしいぞ」 「うっそ!?」 「そんなもんないってば!!」 「じゃあ見せてもらおうじゃない」 今度はみんなでヒロキの部屋に入ろうとすると 「あら?みんなで何してんの?」 ヒロキの母親が帰ってきた。 「あ、母さん!」 「お邪魔してまぁす」 全員で母親の方を見た。 「どうやらハンちゃんの部屋にエロ本があるらしいんで、みんなで調査してるんですよ」 リオナが言うと 「だから!そんなのないってば!!」 ヒロキが大声で言った。 「うん、ないねぇ」 「なっ?」 「この前全部捨てといたから」 「えぇっ!?」 ヒロキの動きが止まった。 「だから、この前掃除したときに捨てといたよ」 「ちょっ!えぇ!?」 ヒロキがどっちとも取れないリアクションをしていると 「まぁ、男の人はみんな持ってるって言うし」 アリサがフォローした。 「はっはっはっ、ヒロキも大人になったって事だよ。なぁ、マユミ!」 「えぇ、そうそう」 そう言いながら、ユウタは母親の肩に腕を回していた。 「…ハンちゃんのお父さん、ユウタになるかもよ」 「うん、そんな気がして怖い」 全員で居間に戻ると 「それにしても母さん、何で戻ってきたんだよ?」 ヒロキが聞くと 「アレ?ここは私の家ですけど?」 母親は冗談半分で答えた。 「そうじゃなくて!今日夜勤じゃなかったの?」 「今休憩中っ。お客さん来てるんだから、おもてなしくらいしなきゃ」 そう言うと、玄関に戻って大きな包みを持ってきた。 「は~い、ピザとケーキ」 「わぁ~!!」 「あ、おでん食べます?」 「うん、ちょっとちょうだい」 アンナが小さな器に大根、玉子、こんにゃくを入れてダシを少しかけて渡すと、母親は大根を箸で割って食べた。 「あっ、ウチのダシと違うけど美味しい」 「コレはですね…」 「うんうん」 アンナに教えてもらいながら食べ終わると 「さて、夜勤行かなきゃ」 と無造作に立ち上がった。 「みなさん、ゆっくりしていってね」 仕事へ戻る母親をユウタとヒロキは見送りに行った。 「ありがとね」 「…ヒロキ、アリサちゃん好きでしょ?」 「えっ!?」 「正解っ」 ユウタが笑顔で言うと 「ふふっ、いってきます」 微笑みながらユウタの手にハイタッチして行った。
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