Never Shine

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おでんもピザも食べ終わると、ケーキを人数分に切り分けて小皿に入れて配った。 「甘ぁい♪」 「やっぱイチゴケーキだね」 「クリーム旨っ!」 「これ、牧場のケーキなんだよ」 ヒロキが言うと 「こんな美味しいケーキ食べたことないよ」 アンナは目を輝かせた。 「アンちゃんケーキ好きなんだ」 「女の子はみんな好きだよ~」 「今度ウチでも買ってみるよ」 「レオ、メモしよっ」 レオカはケーキの箱に書いてある連絡先を読み上げると、リオナは携帯電話に入力した。 「コウスケくん、食べてる?」 「食べてるよ」 「なんだー、食べてなかったら貰おうと思ってたのに」 「コウスケ、ワリと甘いもの好きだからな」 「まぁね」 コウスケはケーキを食べ終わると、皿とフォークをテーブルに置いた。 「そういえば、ユウタとコウスケくんって同じ中学だったんだよね?」 アリサが聞くと 「ん?まぁ」 「保育園から同じだけどな」 コウスケとユウタは顔を見合わせた。 「ねっ、昔からユウタはこんなカンジなの?」 「まぁ、良くも悪くもな」 「オマエもだろ!?」 「何か思出話とかないの?」 リオナが聞くと 「ん…あっ!警察に十数人で捕まったことがあるな」 「あぁ、あれはヤバかった」 ユウタとコウスケは笑いながら話した。 「えぇっ!?なにそれ!!」 「なにやったの!?」 「あれは中三の時の文化祭で、準備が間に合わなくてな…」 「そうそう…」 遡ること3年と2ヶ月。 中学生活最後の文化祭の準備中。 3年生となれば会場の出し物、ステージでのコーラス、劇の準備を行う。 田舎の中学校であるため、23人という少人数で多忙ながらも一人一人が準備をこなしていたが、会場の出し物を室内に設ける“日本庭園”と空き缶を利用した“大きな絵画”が、このままでは文化祭2日前にしてどちらも間に合わない事が発覚した。 そこで、担任に『放課後、下校時間より残って作業させてほしい』と申し出て、担任は教頭の元へ相談に行ったものの、無情にも 「下校時間を超すのはダメだ」 という結論が終礼の時に担任の口から告げられた。 「くそっ!」 「これじゃあ間に合わないよ」 みんな口々に言いながら放課後作業に移った。 その時、耳元で1人に囁かれた。 「ユウタ、今日残れるか?」
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