3人が本棚に入れています
本棚に追加
おでんもピザも食べ終わると、ケーキを人数分に切り分けて小皿に入れて配った。
「甘ぁい♪」
「やっぱイチゴケーキだね」
「クリーム旨っ!」
「これ、牧場のケーキなんだよ」
ヒロキが言うと
「こんな美味しいケーキ食べたことないよ」
アンナは目を輝かせた。
「アンちゃんケーキ好きなんだ」
「女の子はみんな好きだよ~」
「今度ウチでも買ってみるよ」
「レオ、メモしよっ」
レオカはケーキの箱に書いてある連絡先を読み上げると、リオナは携帯電話に入力した。
「コウスケくん、食べてる?」
「食べてるよ」
「なんだー、食べてなかったら貰おうと思ってたのに」
「コウスケ、ワリと甘いもの好きだからな」
「まぁね」
コウスケはケーキを食べ終わると、皿とフォークをテーブルに置いた。
「そういえば、ユウタとコウスケくんって同じ中学だったんだよね?」
アリサが聞くと
「ん?まぁ」
「保育園から同じだけどな」
コウスケとユウタは顔を見合わせた。
「ねっ、昔からユウタはこんなカンジなの?」
「まぁ、良くも悪くもな」
「オマエもだろ!?」
「何か思出話とかないの?」
リオナが聞くと
「ん…あっ!警察に十数人で捕まったことがあるな」
「あぁ、あれはヤバかった」
ユウタとコウスケは笑いながら話した。
「えぇっ!?なにそれ!!」
「なにやったの!?」
「あれは中三の時の文化祭で、準備が間に合わなくてな…」
「そうそう…」
遡ること3年と2ヶ月。
中学生活最後の文化祭の準備中。
3年生となれば会場の出し物、ステージでのコーラス、劇の準備を行う。
田舎の中学校であるため、23人という少人数で多忙ながらも一人一人が準備をこなしていたが、会場の出し物を室内に設ける“日本庭園”と空き缶を利用した“大きな絵画”が、このままでは文化祭2日前にしてどちらも間に合わない事が発覚した。
そこで、担任に『放課後、下校時間より残って作業させてほしい』と申し出て、担任は教頭の元へ相談に行ったものの、無情にも
「下校時間を超すのはダメだ」
という結論が終礼の時に担任の口から告げられた。
「くそっ!」
「これじゃあ間に合わないよ」
みんな口々に言いながら放課後作業に移った。
その時、耳元で1人に囁かれた。
「ユウタ、今日残れるか?」
最初のコメントを投稿しよう!