Never Shine

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微かに聞こえる声の方へ身を隠しながら行くと 「おっ、ユウタ!」 「ユウイっちゃん!?」 コウスケと共に物陰に隠れた同級生と合流した。 「ユウイっちゃんも来たんだ」 「うん、コウスケとね」 「ユウイチ出てくるの遅いから他の人とはぐれた」 「…やらかすなぁ」 小声で話していると 「あ、シュンペイだ」 「マジだ」 シュンペイはユウタと同じように物陰から隠れて中の様子を見ていた。 「今思うと、あれからシュンペイと皆との溝が深まったんだな」 「う~ん」 ユウタとコウスケが話の流れを一旦止めた。 「え~、どうして?」 「来ただけ偉いじゃない」 「…そのまま、すぐに帰ったんだよ」 「俺たちシュンペイ見てたけど、5分もいなかったんだけどな」 全員はピクッとコウスケの方を見た。 「それなのに次の日『1時間いたけど誰もいないから帰った』って」 「うわぁ」 「元々、話盛るタイプだったし、シュンペイのいた場所は30分くらい後には皆居たから“ホラ吹き”のレッテル貼られて、皆避けるようになったんだよ」 「あらら…」 「んで、続きっ!」 「あぁ、30分くらいしたら先生が帰って技術室の電気が消えたんだ」 明かりが消えると、物陰からヨウジたちが出てきて、ようやく同志たちが全員集合した。 少し待つと、技術室の窓が空いた。 中に1人いて窓の鍵を開けたのだ。 「どうやって入ったんだ?」 「『忘れ物した』って、昇降口から中に入らせてもらったよ」 窓から絵を数人で持って、学校裏の堤防を少し歩いて川の方へ降りて行くと、学校へは物音が聞こえない場所となった。 懐中電灯を手にそれぞれ作業を始めた。 作業場から堤防を上がると公衆トイレがあり、そこで空き缶が洗える。 ユウタは洗った缶を運んでは皆に渡してコツコツと作業した。 「んで、警察が来た」 「なんで!?」 「分からんけど、缶を釘で打ち付ける音を公衆トイレにたまたま来た人に聞かれて通報されたんじゃないかな」 「捕まったの?」 「いや、数学の先生が何故か来て」 「警察を止めてくれた」 「えぇ~!?なんで来てたの?」 「未だに分からん」 「みんな帰らされて、翌日授業の度にいろんな先生から説教」 ユウタとコウスケは海外ドラマのように両手を広げて言うと 「だろうね」 と全員声を揃えた。
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