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「んでも、数学の先生は『なにも言わなくて良い』って言ってたなぁ」
「うん」
「…先生は分かってくれてたんだよ」
リオナの言葉に、ユウタとコウスケは静かに首を縦に振った。
「その次の日、夜8時まで作業を許可してもらえて、なんとか間に合ったんだよ」
「ギリギリだったな」
ユウタは壁にもたれ掛かると
「今思えば担任の東村先生は大変だったと思うなぁ」
と呟いた。
「他の先生から『あっちこっち謝ったみたいだから、感謝しなさい』って言われたけどな」
「あぁ、皆で謝ったよな」
「んでも、俺たちの“覚悟”も認められたらしく、PTA会で先生たちは誉めてたみたいだよ」
「…何でそんな話をユウタが知ってんの?」
アリサが聞くと
「ウチの母さんPTA会長だからだよ。…だから俺を止めたのかもしれないと思うが」
ユウタは腕を組ながら答えた。
「いやぁ、ユウタのお母さんは自分の立場を守るためじゃなくて、純粋に心配だったからだよ」
「えっ?」
「ユウタのお母さん見れば、そんな人だって分かるよ」
人差し指を立てて話すレオカに、ユウタはフッと笑い掛けた。
「こ~ら、ハンちゃん」
「いてっ!」
アンナが掌でヒロキの顔をバチッと叩くと、ヒロキはハッと目を覚ました。
「今良い話してたのに寝るかね?」
モモコが口を尖らせて言うと
「朝早くから掃除してて疲れたんだよ~」
ヒロキも口を尖らせた。
「えぇ~!?ハンちゃん、寝る気?」
「うん、除夜の鐘聞いたら寝るよ」
「初日の出見なきゃ!」
リオナとレオカは顔を揃えてヒロキの方へ近寄った。
「寝~る~のっ!今度はリオナん家みたいにいかないからな」
「自分ルールかよ~」
リオナがアヒル口で言うと
「…それ、リオナの家で俺たち散々言っただろ」
ユウタが言った。
「あっ!コウスケくん、あの時逃げたよね」
「…そうだっけ?」
「地獄の不眠地獄が待ってたというのに」
「“地獄”2回言うことないじゃん」
「しかも、地獄だなんて失礼なっ!」
口を尖らせてカバンを開けると
「さっ、コウスケくん。トランプしよう」
「はい始まった~」
アンナが指差した。
「言っとくが、俺たちそれ3時間やらされたけどな」
「…ウソだろ!?」
コウスケは目を大きく見開いた。
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