milk-dipper

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アリサはパラパラと本を捲って 「アンちゃん、この歌手歌える?」 と聞くとアンナは覗き込んで 「コレなら前にアリサからCD借りてたし、歌えるよ」 と指差した。 「じゃあ入れるよ~」 「はぁい」 軽快なリズムに管楽器の音、アンナの歌声が入ると思わず 「これだ」 とユウタは呟いた。 「ふ~、うろ覚えだったけど」 アンナは照れ臭そうに笑うと 「いや、最高っ」 ユウタが拍手した。 「今、俺たちがフェスで演奏してて、客が騒いでるシーンが見えたよ」 「…バンド漫画をパクるなよ」 ユウタがヒロキの肩を殴った。 「よし、残り45分は自由に歌って良いぞ」 ユウタの声に、リオナがリモコンを取ると 「いくよ~」 と番号を入れた。 リオナが熱唱している間、ヒロキにタンバリンを持たせて騒がせた。 「どう?」 「面白くもなく普通に上手い」 「なんだよそれ!?」 「次わたし~」 アリサが入れるとマイクを持って立ち上がった。 アリサの歌声は繊細かつ芯の強い歌声が響いていた。 「ブラボー!!」 「ヒロキ何人だよ?」 「アンちゃんの言った通り緊張するね」 アリサは笑いながら言うと 「アンナにひけを取らないほどだよ。コーラスも兼務してよ」 ユウタが言った。 「コウスケくん歌う?」 ヒロキは本を渡そうとすると 「いや、いいよ。ヒロキ歌えよ」 と押し返した。 「いや、ヒロキはトリで」 「じゃあユウタ」 ユウタは番号を入れて歌うと 「意外と上手いね」 アンナが言った。 「うん、いろんな声も出せるし、ラップも出来るし。引き出し多いね」 「まぁな」 「次モモコ~!」 「えぇ~、みんなあまり知らない歌しか知らないよ?」 モモコが入れた曲は誰一人知らない曲だった。 「えぇ…声ちっさ…」 「しっ!!」 ユウタの口をリオナが押さえた。 「さて、いよいよ大トリの半田様です」 「えっ!?えっ!?ハンちゃん上手いの?」 女子全員が目をキラキラさせていると 「天才だからな。俺、これが聴きたいわ」 ユウタが番号打ち込んだ。 「えぇ、これレコード大賞曲じゃん」 歌い始めたヒロキはまるで 「あのガキ大将のリサイタルじゃん」 「ボエ~ッ!!て」 コウスケはリモコンでヒロキの声を変えて遊ぶと 「あはははは」 「コウスケやめろ!」 みんな腹を抱えて笑った。
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