黒と白~陰と陽の奇跡~

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「ああ… しかし、そう約束した私達も大人になるにつれ、次第に意見が食い違うようになって来てしまった… いつの間にか、イッシュ建国の伝説に出てくるかつての双子の英雄ホワイトとブラックのように、私は理想を追い求め、ゲーチスは真実を追い求めるようになっていった… 私は理想と真実どちらが正しいかなどそのような事は関係ない、私はただ自分の信じる道を進み精一杯生きて来た… ただそれだけだったのに… いつの間にかゲーチスの考えを否定するようになっていたんだ…」 レオンはそう言って辛そうに目を瞑り俯いた… 「お父さん……」 「…それからというもの、私とゲーチスの関係は悪化し、私達はお互い違う道を歩み始めた… アデク父さんの後を継ぐため自身の実力を駆使してポケモンチャンピオンとなった私は、各町の治安状況を見直すためイッシュキングとして伝説ポケモン達の協力を得ながら各地を旅してアロエさんやアーティ等ジムリーダーに相応しい人材を探し、その人達を集めて育成しながら私なりの世直しを始めた… 一方のゲーチスは母親亡き後“プラズマポケモン愛護団体”のリーダーとなり各地から学者や研究者等頭の良い者達を集めて組織を編成し、ポケモンを自由にするため人々に訴え続けた… やり方は違えど、私達はそれぞれイッシュ地方を良くするために努めた… だから、今のイッシュ地方があるのは私や伝説ポケモン達の力だけではない… 人々に自らの思いを必死に訴え続けたゲーチスの力もあったからこそ今の平和なイッシュ地方が築かれた…私はそう思っているよ。 実際にゲーチスと2人で協力して今のイッシュ地方を築いたわけではないが、その事を考えると結局ゲーチスとの約束は果たせていたんじゃないかなとそう思えるんだ… とは言え、そう思っているのは私だけで、あいつはそう思っていないかもしれないけどな…」 「お父さん… じゃあ、お父さんはゲーチスの事嫌いじゃないの…?」
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