黒と白~陰と陽の奇跡~

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―その頃、部屋から出たゲーチスは最上階へ通じる階段を上っていた… その最上階付近には誰もいないため、ゲーチスのカツンコツン…という靴音が響く… それもそのはず、その階段の先にある部屋には普段ゲーチスとNとダークトリニティー以外、テレスや七賢人達やしたっぱの団員達は近づく事も入る事も許されていなかったからだ… しばらくしてゲーチスは階段の一番上に辿り着くとその部屋の前に行き、ドアをカチャリ…と開けた… すると、ゲーチスが入ってすぐの所にはモンスターボールの模様がある、ポケモンバトルが行えるだけの広い床があり、その床の上を通りながらゲーチスが奥へ行くと、そこには… 目元だけ見える白い頭巾を被り、かろうじて見える前髪は薄緑色をしており、胸にプラズマ団のマークが付いている白い衣服を着ていて、その衣服の下には包帯を巻いているのか、その包帯を手首の所まで巻いているのが見受けられる青年がベッドに横たわり眠っているのか目を瞑っているのが見受けられ、その青年のそばには青年のポケモンと思われるジャローダが佇んでいるのが見受けられた… 「(お休みになっていらっしゃいましたか…)」 ゲーチスはそう思うと、青年が眠っているベッドの近くにあるテーブルの上に小箱を置こうとした… すると、ふと目を覚ました青年がゆっくりと目を開けるとゲーチスの方を見て言った… 「…ゲーチス…」 「あ、すみません、Y様、起こしてしまいましたね…」 「…いや、いい…」 「そうですか… ところで、お体の具合はいかがですか?」 「…いつも通りだ… 良くはないが、これ以上悪くもなっていない…」 「そうですか… それ以上悪くなっていないならば良かったです。」 「うむ… ところで…どうしたんだ?」 「あ、実はY様にこれを持って来たんです。」 ゲーチスはそう言うと、Yに小箱を差し出した。 「…これは…?」 「これはリリスからのバレンタインチョコです。」 「…リリス、から…だと…?」 Yはそう言って驚いたように目を見開くと、やがてベッドからグッと体を起こした… すると、それを見たゲーチスがすかさず小箱をテーブルの上に置くと、Yの体を支え起こしてあげた。
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