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「ねじ回しを捜しているんですが、確か、この引きだったと思うのですが・・・」奥の方まで見た店主は「ここじゃないのかなぁ」と、先ほど閉めた、引き出しをまた、開けた。
中を見て「やっぱり、ないなぁ」首を傾げた。
「ねじ回しなんか、どするの」右に左に動く店主を見て竜太は訊いた。
手元は引き出しの中で、首だけをその方へ振りながら、「そこの、出入り口のねじが飛び出てきて、ズボンにあたるのですが」と、店主は言った。
竜太は止まり木から降りて、店主の言う出入り口の枠を見た。
ねじの頭が飛び出てきて、ズボンにあたり、鉤裂きを作る状態であった。
「ああ、これね」と、言って、竜太は腰のベルトを外した。
「どうするんですか」竜太の動きを見た店主は、引き出しへ入れた手を止めた。
「ええ、一寸待ってください」
外したベルトのバックルを裏返しにして、摘むように仕掛けのある棒を引き出した。
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