宝島の報酬

野良犬

「信じた人には騙されるし、人生ガタガタですよ」竜太は真面目な目つきになって、コップをコースターへ、音を立てるように戻した。

「まあ、落ち着いて、ある人が、言っていましたよ」

「で、なんて」

「幸せも苦しみも、みんな平等に授かって、生まれて来ていると」

「でも、私は苦しみばっかりですよ、借金で首が回りませんよ」

「そうですか、私が言うのはおかしいですが、呑んで歩く分、返済に回したらいかがですか」

「月に一度や二度の飲み代ぐらいでは、焼け石に水ですよ、重すぎますよ、十字架が」竜太はコップの酒を一気に呷(あお)った。

「まだ、若いのですから、これからですよ、頑張ってください、そう人生捨てたものじゃありませんよ」店主は竜太が握る、空のコップへビールを注ぎ足した。