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竜太の背後には、ボックス席が三つあり、二組の客が呑んでいた。
女性ずれの客が「マスター、ビール」と、叫んだ。
「はい、ただいま、お持ちします」
店主はカウンター脇から、ビールを持って、ボックス席へ向かった。
ボックス席の相手をして、戻って来た店主へ「いつもの女性(こ)は」竜太は訊(き)いた。
「今日は、何か用があるとかで、休みなのです」
「それじゃ、大変だね」店主の動きを見ながら竜太は言った。
「彼女のありがたさが、こんな時に分りますね」空のビール瓶を片付けながら、店主は言った。
つまみに出された、枝豆を口にしたときには、竜太の息も心も落ち着いていた。
「しかし、平凡な人世で終わりたくないね、何か、でかいことでもやりたいね・・・そうだ、マスター、宝島があるんだって」
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