第1話

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吉村先生は教壇の前に立ち、出席簿を片手に名前を呼びはじめた 「出席とるよ ――相田」 「はい」 「石本」 「はーい」 「浦和」 「………はい」 落ち着いた甘くて低い声 細身のスーツ 「千田」 「はーいはーいはーい」 「返事は一回」 「はーい」 「フッ…………田口」 今の笑顔…………… そう………私が好きな人は 教壇に立っている 吉村隼人先生 相変わらずカッコいい……… 私はこのSHLの時間が大好き あの声で毎日自分の名前が呼ばれるこの時間が ――たまらなく愛しい―― 「平本」 あー 今……私の名前――――― 「平本ーニヤけてないで返事して」 やばっ……また顔に出てたか 「……………はい」 恥ずかしい…… 絶対変な子だって思われた 私はそーっと先生の顔を見た すると、先生はまだ私の顔を見ていた えっ……………なに …なんでずっと私を見てるの? 「…………フッ」 あっ………笑った 「松本」 「はい」 笑われた…………… 顔から火が出るほど恥ずかしい――――― でもあの笑顔は……………やっぱりズルい 「宮野」 「はーい」 雪ちゃんの語尾にハートマークが付いてそうな返事が聞こえた後、先生は朝の連絡事項を話始めた
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