別れのとき

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はあ、と溜め息をつく。 三月と言えど、夜はまだ寒い。 トレーナーの伸ばし過ぎた袖はよれて当てにならない。 本当はもう入らない胃袋に、もう一口分のアルコールを流し込んだ。 大人とは何だろうか、諦めることなんだろうか、お酒が飲めるようになることだろうか、煙草が吸えれば、一人前に、生きていけるのだろうか。 ああ、私は貴方が好きでした。 家族の寝息が後ろで聞こえる。 安らかな寝息であった。 私も寝なくちゃ。 母にばれぬよう、 残りを雨水の排水溝に捨てて、 空っぽになった缶をゴミ袋に投げ入れる。 部屋の中に入ってドアを閉めたら、 色んな音が一斉に止んで、 それは私を余計に寂しくさせた。 もう寝よう。 弟の隣に敷いてある掛け布団に足を入れる。 おやすみなさい、 彼も、もう寝ているだろうから。
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