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……これでも学校の屋上から飛び降りるくらいの覚悟で誘ったんだけどね。
と、僕は心の中で呟いた。
鳥のさえずる爽やかな朝、デートの誘いを一刀両断に断られた上に、ここまで自分を冷静に批評されるとは。
僕は朝日に照らされるのさえ恥ずかしくなってきたので、口をとがらせて俯いた。
――そんな二人の上空五十メートル――
「ようし、あの二人にしましょう、ファンタ」
「はいはい、お好きにどうぞ、ジア姫」
相変わらず適当で考え無しなジア姫の言葉に、俺は無気力な声を返した。
下界の人間達からは見えないが、俺達は宙に浮かび、はつかとリョウ、二人を観察していたのだ。
そんな俺の名はファンタ。天空界の騎士。
今日もジア姫のお供――子守とも言う――に駆り出され、下界の恋愛事情を眺めているのだ。
……くだらねぇ。恋愛なんざどうでもいい。早く帰ってメシにしたい。
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