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「ちょっとファンタ! キミ、やる気はあるの? 私は下界の恋を百個叶えないと、自由に恋愛出来ないのよ!」
「はいはい、分かってますよ。あと百個叶えないといけないんでしょ?
恋愛成就率ゼロパーセント。全く立派な恋のキューピットもいたもんだ。
ジア姫が何もしなければ叶った恋もあったでしょうに、お気の毒様ですねぇ、ターゲットにされた者達は……はっ!」
そこまで言って、俺はジア姫の手にある白いステッキが輝きだしたのに気がついた。
まずい! 雷撃魔法が来る!
「ファンタァーッ!」
「ぎゃあぁぁぁぁ!」
雷撃の直撃を受け墜落した俺は、下界の地面、アスファルトに盛大に顔を打ちつけてしまった。
いたたた……ジア姫に警護なんて必要なくね? と、彼女の魔法の威力に、護衛騎士の存在の必要性を、いつも疑問視してしまう。
こんな事が毎日続いたんじゃ、身が保たない。
さっさと恋愛”百”成就を完遂させて、俺も自由を手に入れなければ。
とはいえ、どうもジア姫は箱入り娘の為か、恋愛の機微ってもんが分かってない。
めんどくさいが、俺がなんとかしなくては。
「まずはこの二人、リョウとはつか、だっけか? こいつらを無理矢理にでもひっつけてやる!」
俺は雷撃で痺れる体で、剣を杖にしてなんとか立ち上がると、前方を歩くリョウ達に目を向けた。
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